皆さんは、耐糖能という言葉を聞いたことはあるのでしょうか?
「血糖値」や「糖尿病」という言葉はよく耳にしても、「耐糖能」という言葉は、健康に関心がある方でもあまり聞いたことがないかもしれません。

でも実はこの耐糖能、糖尿病になっているかどうかだけではなく、

  • 食後に強く眠くなる
  • 食後にだるくなる
  • 甘いものが無性に欲しくなる
  • 食べたあと血糖値が大きく上がる
  • 健診では問題ないのに血糖値の変動が大きい
  • 脂肪肝がある
  • お腹まわりに脂肪がつきやすい
  • 年齢とともに太りやすくなった

そんなことを考えるうえでも、とても大切な身体の能力です。

そして最初に知っておいていただきたいことがあります。
耐糖能が低い=血糖値が低い、ではありません。

ここは非常に間違えやすいところです。
耐糖能とは簡単にいうと、
「身体に糖が入ってきたとき、その糖を適切に処理して、血糖値を適切な範囲へ戻せる力」
のことです。

つまり、問題なのは単純に
「糖を食べたか」
だけではありません。

身体に入ってきた糖を、
きちんと受け取り、
きちんと貯め、
きちんと使い、
必要なときだけ血液中へ戻す。
この一連の働きができているかどうか。

これが「耐糖能」を考えるうえで非常に大切になります。


そもそも、食べた糖は身体の中でどうなるの?

ご飯、パン、麺、果物などに含まれる糖質は、消化されると主にブドウ糖となって小腸から吸収され、血液中へ入っていきます。

当然、食後は血糖値が上がります。
血糖値が上がること自体は悪いことではありません。

ブドウ糖は、私たちが生きていくために使っている大切なエネルギー源の一つだからです。

問題は、
上がった血糖を身体が適切に処理できるかどうか
です。

血液中のブドウ糖が増えると、膵臓からインスリンが分泌されます。

すると、

・筋肉が糖を取り込む
・肝臓が糖をグリコーゲンとして蓄える
・肝臓から新たな糖を血液中へ出す働きを抑える
・脂肪組織の代謝を切り替える

といったことが同時に起こります。
その結果、食後に上昇した血糖値が徐々に元の状態へ戻っていきます。
つまり耐糖能とは、インスリン一つの話ではありません。

私は理解しやすいように、大きく5つに分けて考えると良いと思います。

①膵臓がインスリンを出せる力
②筋肉が糖を受け取り、使える力
③肝臓が糖を貯めたり出したりする力
④血糖を調整するホルモン
⑤それらをコントロールする自律神経・睡眠・体内時計

この5つです。

実際の人体ではさらに脂肪組織、腸、脳、腎臓なども関係しています。
ですから「耐糖能はこの5つだけで決まる」という意味ではありません。

ただ、一般の方が全体像を理解するためには、まずこの5つを押さえると非常にわかりやすくなります。


① 膵臓――必要なときにインスリンを出せるか

まずは膵臓です。
膵臓にあるβ細胞は、血液中のブドウ糖が増えたことを感知するとインスリンを分泌します。
インスリンは、血液中に増えたブドウ糖を筋肉や脂肪組織などへ取り込ませたり、肝臓から余計な糖が出ないよう調整したりする重要なホルモンです。

ここで大切なのが
「インスリンが出ているか」だけでなく、「必要なタイミングで必要な量を出せるか」
ということ

食事をすると、正常な身体では比較的早い段階からインスリンが分泌されます。
これを初期分泌、あるいは第一相インスリン分泌などと呼びます。

最初のインスリンが速やかに出ることで、
「今から糖が入ってくるよ」
という情報が全身へ伝わり、筋肉や肝臓が糖を処理する準備を始めます。

ところがβ細胞の働きが低下すると、この初期のインスリン分泌が弱くなったり遅れたりします。

すると食後の血糖が必要以上に上昇しやすくなります。
そのあとになって大量のインスリンを出して処理しようとする場合もあります。

この場合、

食後血糖が大きく上昇

遅れてインスリンがたくさん出る

その後血糖が大きく下がる

という血糖変動が起こることもあります。

ただし、食後の眠気やだるさがあるからといって、それだけで「低血糖」「耐糖能異常」と判断することはできません。
症状だけで決めつけず、必要に応じて血糖値や検査結果と合わせて考えることが大切です。

2型糖尿病は、単純な「インスリン不足」ではありません。
インスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性と、膵臓がそれを補えるだけのインスリンを出せなくなることの両方が関係しています。


② 筋肉――糖を取り込み、実際に使えるか

次に、とても重要なのが筋肉です。
「血糖値」というと膵臓ばかり注目されますが、実際には筋肉は糖代謝の非常に重要な臓器です。
食後に血液中へ入った糖の大きな受け皿の一つが骨格筋だからです。
インスリンが筋肉の細胞に働くと、GLUT4という糖輸送体が細胞膜へ移動します。

イメージとしては、
筋肉の細胞に「糖の入口」が出てくる
ようなものです。

そこからブドウ糖を取り込み、筋肉の中でエネルギーとして利用したり、グリコーゲンとして蓄えたりします。

ところがインスリン抵抗性が起こると、
インスリンは出ているのに、

「糖を入れてください」
という指示が筋肉に十分伝わらなくなります。
すると糖が血液中に残りやすくなります。

さらに、筋肉量が少なければ、そもそも糖を受け取るための「タンク」そのものが小さくなります。

運動不足も同じです。
筋肉を持っているだけではなく、
実際に使うこと。
これも非常に重要です。

なぜなら筋肉は収縮すると、インスリンの作用とは別の仕組みでもGLUT4を細胞膜へ移動させ、糖を取り込むことができるからです。
運動によって筋肉への糖取り込みが増え、継続的な身体活動によってインスリン感受性も改善します。

ですから、
「食後に少し歩く」
という、とてもシンプルな行動にも意味があります。
スクワットなどで大きな筋肉を動かすことも有効です。

耐糖能を考えると、
筋肉量 × 筋肉を使う頻度 × インスリン感受性
の3つを見る必要があります。


③ 肝臓――糖を「貯める」と「出す」を切り替えられるか

ここは意外と知られていません。
肝臓は、血糖値を調節する巨大な「糖の倉庫」であり、同時に「糖を作る工場」でもあります。

食後には、

血糖値が上がる

インスリンが分泌される

肝臓が糖をグリコーゲンとして蓄える

肝臓から血液中へ糖を出す働きを抑える

という方向へ切り替わります。

反対に、寝ている間や食事をしていない時間には、

血糖値が下がってくる

グルカゴンなどが働く

肝臓のグリコーゲンを分解する

必要に応じて新しく糖を作る

血液中へブドウ糖を供給する

という働きをします。

つまり正常な肝臓は、
食べたら「しまう」
食べていないときには「必要な分だけ出す」
という切り替えをしています。

ところが肝臓にインスリン抵抗性が起こると、この切り替えが悪くなります。

インスリンは、
「今は食事から糖が入ってきているから、肝臓から糖を出す必要はありませんよ」
という信号を送っているのに、それが十分に伝わらない。

すると、
口から糖が入ってきているのに、肝臓からも糖が出続ける
という状態になります。
当然、血糖値は上がりやすくなります。


脂肪肝と耐糖能はどう関係するの?

ここで脂肪肝の話につながります。

脂肪肝、特に代謝異常を伴う脂肪肝は、インスリン抵抗性と強く関連しています。
肝細胞内に脂質が過剰に蓄積すると、単純な中性脂肪だけではなく、ジアシルグリセロール(DAG)などの脂質代謝物が増え、それがインスリンの情報伝達を妨げる仕組みが研究されています。

すると、

肝臓に脂肪が蓄積する

インスリンの信号が伝わりにくくなる

肝臓からの糖放出を十分に止められない

血糖が上がりやすくなる

という状態につながります。

ですから、
「脂肪肝になると肝臓が糖を取り込めなくなる」
だけでは少し説明が足りません。

より正確には、
「肝臓に脂肪が蓄積するような代謝状態では、
肝臓のインスリン感受性が低下し、
糖を貯める・作る・血液へ出すという調節が乱れやすくなる」
と考えた方がよいでしょう。

なお、「肝臓に脂肪がある=必ずインスリン抵抗性がある」と単純に一対一で結びつくわけではありません。
脂肪の種類、蓄積する場所、遺伝的要因などによっても違いがあり、単なる中性脂肪量だけでは説明できないこともわかっています。


④ ホルモン――血糖値を下げるだけでは身体は生きていけない

血糖値の話になると、
「インスリン=血糖値を下げるホルモン」
だけを覚えている方が多いと思います。

でも人間の身体は、血糖値を下げることだけを目的に作られているわけではありません。

むしろ生命を守るためには、
血糖が下がりすぎないこと
も非常に重要です。

特に脳などは、血液から供給されるエネルギーに大きく依存しています。
そのため身体には、血糖値を上げる方向へ働く仕組みがいくつも備わっています。

代表的なのが、

・グルカゴン
・アドレナリン
・ノルアドレナリン
・コルチゾール
・成長ホルモン

などです。


グルカゴン

グルカゴンは膵臓のα細胞から分泌されます。
空腹時などに肝臓へ働きかけ、
「糖を出してください」
という方向へ作用します。
肝臓に蓄えているグリコーゲンを分解したり、糖新生を促したりして血糖を維持します。


アドレナリン・ノルアドレナリン

危険を感じたり、強いストレスが加わったりすると働くホルモンです。
身体からすると、
「今すぐ動かなければならない」
という状況です。
そこで肝臓から糖を出し、筋肉がすぐにエネルギーを使えるように準備します。
これは悪い反応ではありません。
むしろ生き延びるために必要な反応です。


コルチゾール

コルチゾールもストレス反応に関係するホルモンです。
糖新生を促したり、末梢組織でのインスリン作用に影響したりしながら、必要なエネルギーを確保する方向へ働きます。
朝にコルチゾールが高くなることも、本来の正常な日内リズムの一部です。
ですから、
コルチゾール=悪者
ということではありません。
問題は、睡眠不足や慢性的なストレスなどによって、本来一時的であるはずのストレス反応が長く続くことです。


成長ホルモン

成長ホルモンにも、血糖を保つ方向への作用があります。
脂肪を利用しやすくしたり、インスリンの作用に拮抗する方向へ働いたりします。
つまり血糖値は、
インスリンだけで管理されているわけではありません。
身体は、
「今、食事をしたのか」
「空腹なのか」
「寝ているのか」
「運動しているのか」
「ストレス状態なのか」
「危険が迫っているのか」
といった状況に合わせて、複数のホルモンを使って血糖を調節しています。


⑤ 自律神経・睡眠・体内時計――代謝の司令塔

ここは、耐糖能を考えるうえで私は非常に大切だと思っています。
糖代謝は、食べ物だけで決まるわけではありません。

同じものを食べても、

・ぐっすり眠れた朝
・徹夜明け
・精神的に落ち着いている日
・強いストレスがかかっている日

では、身体の反応が同じとは限りません。


交感神経が働くと糖を準備する

強いストレスが加わると交感神経が働きます。
するとカテコールアミンなどを通して、

肝臓のグリコーゲン分解

糖新生

血液中へのブドウ糖供給

が促されます。

これは、
「今から逃げる、戦う、身体を動かす。そのための燃料を準備しよう」
という身体の正常な反応です。

昔なら、危険に遭遇したら実際に身体を動かしていたでしょう。
糖を血液中へ出して、その糖を筋肉で使う。
とても理にかなっています。

ところが現代のストレスは違います。

仕事。
人間関係。
将来への不安。
スマートフォンから大量に入ってくる情報。
時間に追われる生活。
身体はストレス反応を起こしていても、実際には椅子に座ったままです。

つまり、

糖を準備する

でも筋肉では使わない

という状況が起こり得ます。
ですから、ストレスと糖代謝は別々の問題ではありません。


睡眠不足でも耐糖能は変わる

睡眠も非常に重要です。
睡眠時間を制限する実験では、健康な人でもインスリン感受性や耐糖能が低下することが報告されています。
複数の介入研究をまとめた研究でも、睡眠制限や概日リズムの乱れがインスリン感受性に悪影響を与えることが示されています。

ですから、
「同じものを食べているのだから、血糖反応も同じ」
ではありません。

  • 前の日にどれだけ眠ったのか。
  • 何時に寝たのか。
  • 生活リズムは整っているのか。

それも糖代謝に関係します。


朝と夜でも耐糖能は同じではない

人間には約24時間周期の体内時計、概日リズムがあります。
研究では、同じような食事条件でも、生物学的な夜には朝より食後血糖が高くなりやすく、耐糖能が低下することが示されています。
夜勤などで体内時計と生活時間がずれる「概日リズムのずれ」も、糖代謝に影響します。

ですから、
何を食べるかだけでなく、いつ食べるか。
これも耐糖能を考える要素の一つです。


では「耐糖能が低い」とはどういう状態?

ここまでをまとめてみましょう。

身体に糖が入ったとき、
膵臓からインスリンが出る。

筋肉が糖を受け取る。

肝臓が糖を蓄え、糖放出を抑える。

ホルモンが全体を調整する。

自律神経や体内時計が、その時々の身体の状況に合わせてコントロールする。
この連携によって血糖値は適切な範囲へ戻ります。

ところが、

  • インスリンが十分出ない
  • インスリンの出るタイミングが遅い
  • 筋肉がインスリンに反応しにくい
  • 筋肉量が少ない
  • 運動不足で糖を使わない
  • 肝臓がインスリンに反応しにくい
  • 肝臓から糖が出続ける
  • 内臓脂肪や脂肪肝がある
  • 睡眠不足
  • 慢性的ストレス
  • 体内時計の乱れ

などが重なってくると、
「糖が身体に入ってきても、うまく処理できない」
という状態になります。

これが耐糖能低下です。


耐糖能が低下すると、何が問題なの?

耐糖能低下が進むと、食後血糖が高くなりやすくなります
最初は膵臓が頑張ってインスリンをたくさん出すことで、血糖を何とか正常範囲に保っていることもあります。

つまり、

インスリン抵抗性がある

膵臓がインスリンを多く出す

一見、血糖値は正常

さらに負担が続く

インスリン分泌だけでは補えなくなる

食後血糖が上がる

さらに進むと空腹時血糖も上がる

ということがあります。

ですから、
健康診断の空腹時血糖が正常=耐糖能にもまったく問題がない
とは限りません。

日本糖尿病学会では、空腹時血糖と75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の2時間値を組み合わせて、正常型・境界型・糖尿病型を判定します。
現在の日本糖尿病学会のガイドラインでは、空腹時血糖110mg/dL未満かつ75gOGTT2時間値140mg/dL未満が正常型、空腹時126mg/dL以上または2時間値200mg/dL以上が糖尿病型、そのどちらにも入らないものを境界型としています。
また、空腹時100〜109mg/dLは正常範囲内ではありますが「正常高値」と位置づけられています。
境界型や耐糖能異常は、将来2型糖尿病へ進むリスクだけではなく、心血管疾患などのリスクとも関連します。


なぜ耐糖能は低下するの?

原因を一つに決めることはできません。
多くの場合は複数の要因が重なっています。

代表的なものは、

  • 運動不足
  • 筋肉量の低下
  • 内臓脂肪の増加
  • 脂肪肝
  • 体重増加
  • 睡眠不足
  • 生活リズムの乱れ
  • 慢性的なストレス
  • 加齢
  • 遺伝的背景
  • 妊娠糖尿病の既往
  • PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)
  • 一部の薬剤
  • 膵臓の病気

などです。

つまり、
「糖を食べすぎたから耐糖能が悪くなった」
だけでは説明できないのです。


実は5つだけではない――脂肪組織・腸・脳・腎臓も関係する

ここまで5つに分けて説明しましたが、人体はもっと複雑です。

例えば脂肪組織。
脂肪細胞は単に脂肪を保管する袋ではありません。
遊離脂肪酸やさまざまな生理活性物質を通して、筋肉や肝臓のインスリン感受性にも影響します。

腸からは、GLP-1やGIPなどのインクレチンと呼ばれるホルモンが分泌され、食後のインスリン分泌などに関わります。
脳もエネルギー状態を感知して代謝を調節しています。
腎臓も血液中のブドウ糖をろ過し、その多くを再吸収することで血糖調節に関わっています。

つまり耐糖能とは、
膵臓だけの能力ではありません。
全身の代謝ネットワークの結果
として現れるものなのです。


では、耐糖能を整えるためには何をしたらいい?

ここまで理解すると、
「血糖値を上げないために糖質をとにかく減らせばいい」
という話だけでは足りないことがわかると思います。

大切なのは、
糖が身体に入ってきたとき、きちんと使える身体をつくること。
です。


① 筋肉を使う

最も取り組みやすく、エビデンスも強い方法の一つが身体活動です。

  • 歩く。
  • 階段を使う。
  • スクワットをする。
  • 筋力トレーニングをする。
  • 食後に軽く身体を動かす。
  • 長時間座りっぱなしにしない。

こうした習慣が、筋肉の糖取り込みとインスリン感受性を助けます。
現在のADAのガイドラインでも、糖尿病や糖尿病リスクのある成人には週150分以上の中~高強度の有酸素運動と、週2~3回の筋力トレーニングが推奨されています。また長時間の座位を中断することも勧められています。


② 筋肉量を保つ

特に年齢を重ねるほど重要です。
筋肉量が減るということは、単純に身体を動かしにくくなるだけではありません。

糖を受け取って使ってくれる大きな組織が減る
ということでもあります。

だから私は、体重だけを見るより、
「筋肉をちゃんと保てているか」
を大切にした方がよいと思っています。


③ 内臓脂肪・脂肪肝がある場合は改善する

すべての人が痩せる必要があるわけではありません。
ただし内臓脂肪が多い人、体重過多がある人、脂肪肝がある人では、
体脂肪を適正化することでインスリン感受性が改善する可能性があります。
糖尿病ハイリスク者では、体重を5〜7%程度減らし、週150分程度身体を動かす生活習慣介入が2型糖尿病発症リスクを大きく減らすことが示されています。


④ 「糖質をなくす」より食べ方全体を見る

糖質は身体にとって利用できるエネルギー源です。

ですから、
糖=悪
ではありません。

ただし、
・精製された糖質を一度に大量に摂る。
・甘い飲料を頻繁に飲む。
・ほとんど身体を動かさない状態でエネルギーを過剰に摂り続ける。
こうした食生活は見直す必要があります。

一方で、

  • 野菜や豆類などから食物繊維をとる。
  • 必要なたんぱく質をとる。
  • 脂質の質を見る。
  • 糖質も活動量や身体の状態に合わせて適切にとる。

というように、食事全体を見ることが大切です。

耐糖能をよくしたいのなら、
「血糖を上げないこと」だけを目標にするのではなく、
入ってきた糖を処理できる身体をつくる
という視点を持ってほしいと思います。


⑤ 睡眠を整える

・夜更かしが当たり前。
・睡眠時間が短い。
・寝る時間が毎日違う。
・夜中まで明るい画面を見続ける。
このような生活は、食事とは別のところから糖代謝に影響します。

耐糖能を考えるなら、
食事・運動・睡眠はセット
です。


⑥ ストレスと心の状態も無視しない

「血糖値の話なのに心?」
と思う方もいるかもしれません。
でもストレス反応は、交感神経、アドレナリン、コルチゾールなどを通じて身体の代謝とつながっています。

ですから、

  • 呼吸。
  • 休息。
  • 身体を動かすこと。
  • 感情をため込まないこと。
  • 自分の思考の癖に気づくこと。
  • 安心できる時間を作ること。

こうしたことも、身体とは切り離せません。
心と身体は別々に存在しているわけではないからです。


耐糖能を見ると「血糖値だけ見ていてはいけない」ことがわかる

耐糖能をまとめると、

①膵臓

インスリンを必要なタイミングで必要な量だけ出せるか

②筋肉

インスリンに反応して糖を取り込み、エネルギーとして使えるか

③肝臓

糖を適切に貯め、必要なときだけ血液中へ出せるか

④ホルモン

インスリン、グルカゴン、コルチゾール、カテコールアミン、成長ホルモンなどが適切に働いているか

⑤自律神経・睡眠・体内時計

身体の状況に応じて代謝全体を適切に調整できているか

という全身の連携です。

ですから、

耐糖能
= インスリンを「出せる力」
× インスリンを「受け取れる力」
× 糖を「使える筋肉」
× 糖を「貯める・出す肝臓」
× それらを「調節するホルモン・自律神経」

と考えると、とてもわかりやすいと思います。


大切なのは「血糖を上げない身体」ではなく「糖を使える身体」

血糖値を気にし始めると、
「糖質を食べない」
「血糖値を絶対上げない」
という方向へ行ってしまう方がいます。

でも本来、食事をすれば血糖値はある程度上がります。
それは異常ではありません。

大切なのは、
上がった血糖を身体が適切に処理できること。

  • 糖を筋肉へ取り込める。
  • エネルギーとして使える。
  • 必要なら肝臓へ蓄えられる。
  • 必要のないときには肝臓から余計な糖を出さない。
  • そして膵臓、筋肉、肝臓、ホルモン、自律神経がきちんと連携する。

私はここを見ることがとても大切だと思っています。

だから耐糖能を整えるということは、
単に
「糖質を減らすこと」
ではありません。

「糖をきちんと使える身体の土台をつくること」
なのです。

これはまさに、私がお伝えしている土台作り.™にもつながります。

必要な材料をそろえ、身体が正常に働ける環境を整える「補給」

身体に入る負担をできる範囲で減らし、肝臓・腎臓・腸など本来の処理・排泄機能が働きやすい環境を整える「解毒」

筋肉を使い、血液やリンパの身体の巡りを整えること。そして、ストレスや感情、思考、睡眠など心の巡りまで整える「巡り」

一つの症状や一つの数値だけを見るのではなく、
身体が本来持っている働きを発揮できる条件を整える。

耐糖能というテーマを深く見ていっても、結局ここに戻ってくるのです。

血糖値だけを見るのではなく、
「私は糖をちゃんと使える身体になっているだろうか?」
そんな視点で、自分の身体を見てみてください。