脂肪酸について、短鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸・長鎖脂肪酸の分類で解説

司このみ   konomi
油について以前も書かせて頂いておりますが、まず、分類法からみてみたいと思います。

脂肪酸について

脂肪酸の種類

脂肪酸は主に2種類の分類法があり、
炭素数および不飽和結合の有無によって分類されます。

炭素数による分類

脂肪酸の炭素数が6個以下のものを短鎖脂肪酸、7~10個のものを中鎖脂肪酸、12個以上のものを長鎖脂肪酸といいます。

不飽和度による分類

飽和脂肪酸 — 炭素鎖に単結合のみ(飽和である)
不飽和脂肪酸 — 炭素鎖に二重結合、三重結合を持っている

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

 

司このみ   konomi
今回は、炭素数による分類で見てみましょう。

 

脂肪酸は、一般的に炭素数が6個以下のものを短鎖脂肪酸、7~10個のものを中鎖脂肪酸、12個以上のものを長鎖脂肪酸といいます。

1、短鎖脂肪酸
2、中鎖脂肪酸
3、長鎖脂肪酸

短鎖脂肪酸とは

炭素数6以下のもので、具体的には酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、コハク酸をさします。但し、乳酸、コハク酸は短鎖脂肪酸に含めないとする見解もあります。

私たちの大腸内でも腸内細菌が食物繊維(難消化性糖類)を発酵する際に短鎖脂肪酸を産生し、健康維持に欠かせない役割を果たしており、酢酸プロピオン酸酪酸の3種が代表的な短鎖脂肪酸です。

短鎖脂肪酸が作られる部位は、腸内細菌が多い大腸で、作られた短鎖脂肪酸は大腸から体内に吸収されます。
吸収された短鎖脂肪酸のうち、酪酸は大腸上皮細胞のエネルギー源として利用され、酢酸とプロピオン酸は肝臓や筋肉で代謝利用されます。また、短鎖脂肪酸の受容体が全身の様々な部位にあり、短鎖脂肪酸はこれらの部位の生体調節機能を果たしています。

中には生活習慣病と密接な関係にあるものも多いことから、癌や肥満、糖尿病、免疫疾患を予防・治療する手段として活発に研究されているます。

短鎖脂肪酸は体内に吸収される前の腸管でも重要な働きがあります。
それは、短鎖脂肪酸は酸性の成分なので、短鎖脂肪酸ができると弱酸性の腸内環境になるといういこと。弱酸性であると悪玉菌の出す酵素の活性が抑えられるため、発がん性物質である二次胆汁酸や有害な腐敗産物ができにくくなり、腸内環境が健康に保たれるのです。
また、弱酸性になることでカルシウムやマグネシウムなどの重要なミネラルが水溶性に変化するので、より体内に吸収しやすくなり、ミネラル不足を補うことができると言われています。

腸活がブームではありますが、発酵食品だけを摂って、腸内フローラばかりに目を向けるのではなく、食物繊維をしっかり摂ることで、単鎖脂肪酸をしっかり作っていくこと、ここもとても重要な点ですね。

短鎖脂肪酸の働き

有害物質からのバリア機能の強化

酢酸には大腸のバリア機能を高める働きがあると言われています。
例えば、酢酸を多く生産するビフィズス菌を摂取していると、病原性大腸菌に感染しても体内にその毒素が入り込むのを防げることが示されています。また、酪酸にも腸管細胞のMUC2遺伝子を活性化することで、粘膜物質であるムチンの分泌を促し、大腸を保護する作用があると言われています。

発がん予防

短鎖脂肪酸は腸内を弱酸性にすることで有害な二次胆汁酸をできにくくするため大腸癌の予防につながります。
また、酪酸には、大腸細胞の異常な増殖を抑える、アポトーシスを促す、大腸細胞の病変を抑えるなどの作用で大腸癌の発症を抑えるといわれています。プロピオン酸は肝臓癌細胞にある短鎖脂肪酸受容体に作用して、肝臓癌細胞の増殖を抑えるという研究報告があります。

肥満の予防

短鎖脂肪酸は脂肪細胞にある短鎖脂肪酸受容体に作用して脂肪細胞へのエネルギーの取り込みを抑え、脂肪細胞の肥大化を防ぎます。また、神経細胞にある短鎖脂肪酸受容体にも作用し、交感神経系を介してエネルギー消費を促すなど、エネルギーバランスを整える働きがある。

糖尿病の予防

酪酸には腸管にあるL細胞に作用して、腸管ホルモンであるインクレチンの分泌を促す作用があります。インクレチンは糖尿病を予防・改善する作用があり、インスリンを分泌する膵臓β細胞数の減少を抑えたり、インスリン分泌を促す作用があります。

食欲の抑制

酪酸やプロピオン酸は腸管のL細胞からインクレチンのほかPYYのような腸管ホルモンも分泌する。インクレチンやPYYは、脳に作用して食欲を抑える働きがあり、満腹感を持続させて過食を防ぐことが知られている。また、酢酸はそれ自体が脳に直接作用して食欲を抑えるという研究報告もあります。(※インクレチンはタンパク質摂取でも分泌されます)

免疫機能の調節

腸は全身の免疫細胞のおよそ60%が集中し、腸の免疫バランスの崩れ(特に過剰な免疫反応)が全身に影響すると言われています。酪酸には過剰な免疫反応を抑えるTreg細胞という免疫細胞を増やす効果があります。
腸の免疫疾患である炎症性腸疾患の患者は日本でも増えており、治療法の見つかっていない難病に指定されていますが、こうした患者さんは、腸内細菌中の酪酸産生菌の数が減っているケースが多いとされ、こうした炎症性腸疾患やクロストリジウム・ディフィシル感染症の患者に対しては生体便移植により、酪酸菌を含めた腸内細菌全体を移植する方法により治療できる可能性があることが示されています

中鎖脂肪酸とは

中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)は、2〜3個の脂肪酸が6〜12炭素原子の脂肪族尾を持つトリグリセリドです。
つまり中鎖脂肪酸(MCFA)です。MCTオイルの商業的抽出のための豊富な食料源には、パーム核油ココナッツ油が主原料となります。抽出過程を考えるとココナツオイル100%のモノが良いかとは思います。
中鎖脂肪酸は小腸から門脈を経由して直接肝臓に入っていきますので、肝臓ですばやく分解され、短時間でエネルギーになります。中鎖脂肪酸が分解される時間は長鎖脂肪酸の4~5倍も速く、脂肪として蓄積されにくいという特徴があります。

中鎖脂肪酸の働き(MCTオイル)

別ページ参照
MCTオイルって何?

長鎖脂肪酸とは

一般的な油に含まれる長鎖脂肪酸は、小腸で消化・吸収されたあと、リンパ管や静脈を通って脂肪組織や筋肉、肝臓に運ばれ、必要に応じて分解・貯蔵されます。

 

脂肪酸代謝経路

脂肪酸の構造

長鎖脂肪酸の働き

長脂肪酸の働きについては、各オイルによって異なりますので、下の図を参照してそれぞれのオイルについての働きをご覧いただけると良いかと思います。

脂肪酸とオイル

 

まとめ

それぞれの脂肪酸には、炭素の数と、不飽和結合の有無という2種類の分類ができる。
それぞれの油には、それぞれの働きがあり、代謝経路が全く違う。

腸内環境に大きくかかわる短鎖脂肪酸
素早くエネルギーとして使われる中鎖脂肪酸

【油】とひとくくりに考えてしまいがちの私たちですが、きちんと役割を知ることで生活の中に、うまく取り入れて健やかな心身を手にいてる為に活用したいものですね!

そして、油を考える時に、意識したい事が【酸化】
この酸化しやすい、しにくいという視点は、不飽和度によります。炭素の手が空いているモノ(不飽和)は、酸素と手をつなぎやすくなります。ようは、不飽和脂肪酸は、酸化しやすいという事になります。
このあたりも今一度、上の図を参考にして確認しておいてみてくださいね。

お勧め参照先
油の種類と選び方