「最近、頭がぼーっとする」
「人の名前や言葉が、すぐに出てこない」
「文章を読んでも頭に入ってこない」
「集中したいのに、頭が働かない」
「以前なら簡単にできたことなのに、考えるだけで疲れる」
そんな状態を感じることはありませんか?
最近よく耳にするようになったのが、「ブレインフォグ(Brain Fog)」という言葉です。
直訳すると「脳の霧」。
まるで頭の中に霧がかかったように、思考がクリアにならない状態を表しています。
でも、ここでまず知ってほしいことがあります。
ブレインフォグは「脳だけ」の問題とは限りません。
脳も私たちの体をつくる臓器のひとつ。
脳がきちんと働くためには、
「栄養を入れる」
「消化・吸収する」
「血液で運ぶ」
「酸素を届ける」
「細胞でエネルギーをつくる」
「不要なものを回収する」
「眠って修復する」
という、全身の働きが必要だからです。
今回は、ブレインフォグがなぜ起こるのかを、少し専門的なところまで掘り下げながらお話しします。
そもそも「ブレインフォグ」とは?
ブレインフォグは、特定の病名ではありません。
一般的には、
- 集中しづらい
- 思考速度が落ちた感じがする
- 記憶しづらい
- 言葉が出にくい
- 考えがまとまらない
- 頭を使うと疲れる
- 判断することが億劫になる
などの主観的な認知症状のまとまりを指して使われています。
医学的にも、ブレインフォグはひとつの病気に特有の症状ではありません。
感染後の状態、更年期、甲状腺機能低下症、慢性疲労を伴う疾患など、さまざまな状態で報告されています。つまり「ブレインフォグ」という一つの言葉の裏側に、異なる原因が隠れている可能性があるということです。
ですから、
「ブレインフォグには○○を飲めばいい」
という単純な話にはできないのです。
① 脳のエネルギーは安定していますか?
脳は、体の中でも非常にエネルギーを必要とする臓器です。
そこでまず見たいのが、エネルギー供給の安定性です。
たとえば、
朝食を抜く。
食事と食事の間が長すぎる。
甘いものや精製された糖質中心の食事になる。
空腹をコーヒーでごまかす。
このような生活が続くと、人によっては血糖の変動が大きくなり、
「食後に眠い」
「午後になると頭が働かない」
「空腹になるとイライラする」
「甘いものが無性に欲しくなる」
「集中力に波がある」
といった状態が出やすくなることがあります。
大切なのは、
「糖質は悪いから抜く」ではありません。
脳に必要なエネルギーを安定して供給できるように、
タンパク質、脂質、食物繊維なども含めて、食事全体を整えることです。
② 栄養を「摂る」だけでは足りません
脳の神経細胞が働くためには、たくさんの栄養素が必要です。
たとえば、
タンパク質、ビタミンB群、鉄、マグネシウム、亜鉛、必須脂肪酸など。
神経伝達物質をつくるにも、細胞でエネルギーをつくるにも、酵素を働かせるにも、こうした材料が必要になります。
ところが、ここでよくあるのが、
「鉄がいいらしい」
「マグネシウムがいいらしい」
「このサプリが脳にいいらしい」
と、単体の栄養素だけを足していくこと。
でも、
食べたもの=細胞が使える栄養
ではありません。
食べる
↓
胃腸で消化する
↓
小腸などから吸収する
↓
血液で運ぶ
↓
必要な組織へ届ける
↓
細胞内で利用する
ここまでできて、初めて体にとっての「栄養」になります。
胃もたれ、膨満感、下痢、便秘などがある人なら、何を足すかの前に「消化・吸収できる状態なのか?」を見る視点も必要です。
③ 腸と脳は別々ではありません
「頭がぼんやりするのに、どうして腸を見るの?」
と思うかもしれません。
でも、腸と脳はかなり密接につながっています。
これが腸脳相関(Gut-Brain Axis)です。
腸と脳は、神経系だけではなく、免疫系や内分泌系、腸内細菌が産生する代謝物など、さまざまな経路を介して情報交換しています。
ですから、
便秘
下痢
ガス
お腹の張り
食後の膨満感
などがある人では、脳だけでなく消化管の状態も一緒に見ることが大切です。
そして最近では、腸内細菌だけではなく、腸内に存在する真菌群、つまり「マイコバイオーム」も研究されています。
その代表的なものの一つがカンジダです。
ただし、ここは誤解してほしくないところ。
カンジダは健康な人の腸にも存在し得ますし、
「ブレインフォグがある=カンジダが原因」
と判断することはできません。
腸内真菌と脳・神経系との関連については研究が進んでいますが、人での因果関係についてはまだ十分に確立されていません。
だから私は、
「カンジダを退治すればいい」
という考え方よりも、
なぜ腸内環境全体のバランスが乱れているのか?
を見ることの方が大切だと考えています。
④ 「炎症」も脳の働きと関係しています
炎症というと、
「悪いものだから抑えなければ」
と思われがちですが、炎症そのものは悪者ではありません。
炎症は本来、感染や損傷から体を守り、修復するために必要な生体反応です。
問題になるのは、炎症を起こす要因が続き、炎症状態が長引くこと。
炎症性サイトカインなどの免疫シグナルは、中枢神経系の働きにも影響します。
特に感染後に長期間ブレインフォグが続くケースでは、神経炎症、免疫調節の乱れ、微小循環、血液脳関門、ミトコンドリア機能など、複数の機序が研究されています。ロングCOVIDに伴うブレインフォグについても、単一原因ではなく複数の要因が重なるモデルが考えられています。
ですから、
「炎症を止める」のではなく、
「なぜ炎症が長引いているのだろう?」
という視点が重要なのです。
⑤ 睡眠は「脳を休ませる」だけではない
ここは、ブレインフォグを考えるうえで特に知ってほしいところです。
ブレインフォグを考えるうえで、睡眠はとても大切です。
私たちは眠っている間、ただ脳や身体を休ませているだけではありません。
脳の中では、日中の活動によって生まれた代謝物などを回収し、脳内の環境を整える働きも行われています。
その仕組みの一つとして研究されているのが、
「グリンパティックシステム」です。
私たちの身体にはリンパ管がありますが、脳の中には身体のほかの部分とまったく同じようなリンパ管が張り巡らされているわけではありません。
そこで脳では、脳脊髄液という液体が血管の周りなどを通りながら脳の中をめぐり、脳の細胞の間にある液体と入れ替わることで、不要になった代謝物などの回収を助ける仕組みがあります。
イメージとしては、
脳の中に新しい水が入り、細胞の周りを洗い流しながら、不要なものを回収していく
ような感じです。
そして、この働きは一日中同じではありません。
特に眠っているとき、とくに深い睡眠のときに働きやすくなることが研究からわかってきています。
つまり睡眠は、
脳を休ませる
+
記憶や情報を整理する
+
脳内の環境を整える
ための時間でもあるのです。
もちろん、人間のグリンパティックシステムについては、まだ研究途中の部分もあります。
そのため、
「睡眠不足になると脳に毒素が溜まり、それがそのままブレインフォグになる」
と単純に言い切ることはできませんが、とても重要であることは明らかではありますよね。
ただ、睡眠が脳内環境の維持に関わっていることを考えると、
「6時間寝たから大丈夫」
と睡眠時間だけを見るのではなく、
途中で何度も目が覚めていないか?
深く眠れているか?
朝起きたとき、頭がスッキリしているか?
身体が回復した感覚があるか?
まで見ることが大切です。
⑥ 脳に「何もしない時間」はありますか?
そして現代人のブレインフォグを考えるうえで、私はもう一つ大切だと思うことがあります。
それが、
情報の入れすぎです。
朝、目覚ましを止めた瞬間からスマホ。
LINEを見る。
SNSを見る。
ニュースを見る。
仕事ではパソコン。
休憩時間にもスマホ。
家に帰ればテレビやYouTube。
寝る直前までSNS。
つまり、
起きている間、脳がほとんど休んでいない。
さらに、
テレビを見ながらLINE。
パソコンをしながら電話。
仕事をしながらSNS。
と、複数の情報を行ったり来たりする生活では、注意の切り替えが繰り返されます。
だからブレインフォグを感じる人には、
「脳にいいものを足す」
だけではなく、
脳に入ってくるものを減らす
というケアもぜひ取り入れてほしいのです。
- 通知を切る
- スマホを置いて散歩する
- 食事中は画面を見ない
- 一度に一つのことをする
- 寝る前は情報を入れない
- 何もせず、ぼーっとする
「脳の余白」をつくることもセルフケアです。
⑦ 栄養があっても「届けられない」と使えない
もう一つ忘れてはいけないのが、
血流と酸素です。
脳は非常に代謝の活発な臓器であり、酸素とエネルギー供給を必要とします。
栄養を一生懸命摂っていても、
それを必要なところまで運ぶ仕組みまで考えなければなりません。
そこで確認したいのが、
- 運動不足ではないか
- 一日中座っていないか
- 呼吸が浅くなっていないか
- 極端な食事制限をしていないか
- 鉄欠乏や貧血はないか
ということ。
つまり、
「入れる」だけではなく「届ける」。
ここまでが栄養です。
⑧ 女性なら「ホルモン」も見てほしい
「昔はこんなことなかったのに、更年期頃から頭が働かない」
という女性もいます。
ブレインフォグは、更年期などホルモン環境が変化する時期にも報告されています。
ですから女性の場合は、
「いつも同じようにぼんやりするのか?」
だけではなく、
生理前に強くなる?
生理中?
排卵前後?
更年期に入ってから?
という時間軸でも観察してみてください。
体は毎日まったく同じではありません。
⑨ 甲状腺や病気、薬が隠れていることもある
ここも、とても大切です。
ブレインフォグを何でも
「自律神経ですね」
「腸ですね」
「栄養不足ですね」
で片づけてはいけません。
たとえば、甲状腺機能低下症では、疲労感とともに記憶や実行機能、言葉の出にくさなどの認知症状が報告されています。
ほかにも、
貧血や鉄欠乏
睡眠時無呼吸
感染後の状態
ホルモン変動
服用している薬の影響
など、
医療的に確認した方がよい背景が隠れていることがあります。
特に、
突然症状が出た
急激に悪化した
長期間続いている
仕事や日常生活に支障がある
頭痛・麻痺・言語障害など別の神経症状を伴う
という場合は、セルフケアだけで判断せず、医療機関で原因を確認することも必要です。
⑩ 最後にたどり着くのが「ミトコンドリア」
ここまで、
血糖
栄養
消化・吸収
腸
炎症
睡眠
自律神経
血流
酸素
ホルモン
と、いろいろなお話をしてきました。
「結局、どれなの?」
と思いますよね。
でも実は、これらはバラバラではありません。
細胞レベルで見ると、多くがつながっています。
その一つの接点になるのが、
ミトコンドリアによるエネルギー産生です。
ミトコンドリアは、細胞が利用するATPというエネルギーを産生する中心的な場所です。
そのためには、
エネルギー源だけでなく、
酸素、
アミノ酸、
ビタミンB群、
鉄、
マグネシウムなど、
さまざまな条件が必要です。
感染後のブレインフォグについても、炎症や血管機能と並んで、ミトコンドリアや代謝機能の変化が研究されています。
つまり、
頭が働かないからといって、頭だけを何とかしようとしても、うまくいかないことがある。
ということです。
では、何から始めたらいい?
全部を一度に変える必要はありません。
まずは一週間、
「いつ頭がぼんやりするのか?」
を観察してみてください。
朝からぼんやりする
→ 睡眠の質は?
食後に眠くなる
→ 食事内容や血糖変動は?
空腹時に頭が働かない
→ エネルギー供給は安定している?
お腹の調子も悪い
→ 消化・吸収・腸内環境は?
忙しい日にひどくなる
→ ストレス・自律神経・情報過多は?
生理周期によって違う
→ ホルモン変動との関連は?
感染症の後から始まった
→ 感染後の変化も考える必要は?
このように、
症状が出る「時間」「状況」「一緒に起きていること」
を観察すると、自分の体を理解するヒントが増えてきます。
だから、ブレインフォグにも「土台作り.™」
ここまで読んでいただくと、
ブレインフォグに「これ一つをやればOK」という方法がない理由が見えてくると思います。
私がお伝えしている土台作り.™では、
① 原因を取り除く
睡眠不足、慢性的なストレス、血糖の乱れ、情報過多など、体が本来の働きを発揮する邪魔になっているものを減らす。
② 戻れる材料を整える
タンパク質、ビタミン、ミネラル、水分など、細胞が働き、修復するために必要な材料を整える。
③ 充実した血液を届ける
食べただけで終わらせず、酸素や栄養を必要な細胞へ届けられる体をつくる。
④ 不要なものを回収して排泄する
腸・肝臓・腎臓などの排泄に関わる働きや循環を支え、さらに睡眠による脳の回復・クリアランスも大切にする。
ブレインフォグだから特別なことをする前に、
脳が本来の仕事をできる「体の環境」を整える。
これがとても大切なのです。
「何を摂ればいい?」の前に「なぜ?」を考えてみる
頭がぼんやりすると、
「脳にいいサプリは?」
「○○を食べればいい?」
「カンジダかも?」
「自律神経かな?」
と、すぐに一つの答えを探したくなります。
でも、人の体はそんなに単純ではありません。
血糖が乱れれば睡眠にも影響する。
睡眠不足になれば食欲や自律神経にも影響する。
腸の状態が悪ければ栄養の利用にも影響する。
ストレスが続けば、睡眠も消化も変わる。
そして、その先には細胞があります。
ですから、
「何を足したらいい?」から
「私の体では今、何が起きている?」へ。
ブレインフォグも、症状だけを追いかけるのではなく、
体全体をつなげて見ること。
それが、自分の体を整えるための第一歩です。
症状ではなく、土台から
体は、全部つながっています。
「ヨガ&セルフケアスタジオ スーリヤ」と「心と体のセルフケアスクール スーリヤ」を運営しながら、必要なモノを入れること、不必要なモノを入れないこと・解毒すること、身心の巡りを良くすること、この3つを『土台作り.』とし、その必要性を発信。これらを整えることで本来のその人の状態になる、という考えを根底に、対症療法だけに頼らず、本当の意味での健康を手に入れる為の、心と体の土台作り.の大切さを学ぶ【土台作り.クラス】を開催。(土台作り.クラスは、東洋医学・西洋医学・栄養学・呼吸法・潜在意識活用などトータルで学ぶことが可能)
その他、ロシアの波動測定機メタトロンと使った健康相談、セルフケアコーチング、五行音叉を使ったオンサセラピーなどを行って、多くの方の【心と体の土台作り.】をサポートしている。
赤十字病院・元看護師。
