「緑茶で自律神経が整う」という記事を読んで、私が「あれ?」と思ったこと

先日、こんな内容の記事を見つけました。

夏の暑さが続くと、自律神経に負担がかかり、

・イライラする
・寝ても疲れが取れない
・寝つきが悪い
・頭がぼんやりする

といった不調が起こりやすくなる。

そこでおすすめなのが「緑茶」。

緑茶に含まれるテアニンには、ストレスによる交感神経の高ぶりを抑え、身体をリラックスさせる方向に働く作用がある。

だから、テアニンの多い玉露や抹茶を飲んだり、水出し緑茶を夕方に飲んだりすると、自律神経を整える助けになる。

ざっくり言うと、そんな内容でした。

なるほど。
確かに、テアニンについては興味深い研究があります。

実際に、12人の成人を対象に暗算によるストレスを与えた研究では、L-テアニンを摂ったとき、心拍数などのストレス反応が小さくなり、心拍変動の解析から交感神経の活性化が抑えられた可能性が示されています。

ここまでは「なるほど」と思います。

でも、読みながら私は、
「ん?ちょっと待って。お茶にはカフェインも入っているよね?」
と思ったんです。

テアニンだけを見たら「良さそう」だけど……

緑茶に含まれるテアニンには、緊張やストレス反応を和らげる方向に働く可能性があります。

一方、同じ緑茶に含まれるカフェインには覚醒作用があります。

つまり、お茶を一杯飲んだとき、
「テアニンだけが身体に入ってくる」
わけではありません。

しかも、先ほど紹介した研究は、
緑茶を飲ませた研究ではなく、L-テアニンを単独で摂取させた研究
です。(コレを例に出すってどう???)

ここ、とても大事だと思うんです。
「テアニンにはこんな作用があります」
ということと、

「だからテアニンを含む緑茶を飲めば、同じことが起こります」
ということは、まったく同じではありません。

テアニンが多い玉露には、カフェインも多い

さらに興味深いのが、お茶の種類による違いです。

農林水産省が示している日本食品標準成分表の値を見ると、カフェイン量は、

煎茶では100mLあたり約20mg。
それに対して玉露は、抽出条件は異なるものの100mLあたり約160mg。
抹茶も、粉末1.5gを70mLのお湯に溶かした場合、約48mgのカフェインが含まれます。

つまり、
「テアニンが多いから玉露や抹茶がおすすめ」
と言われたときには、

「でも、カフェインはどうなんだろう?」
という視点も必要になるわけです。

特に、
「寝つきが悪い人は夕方に玉露や抹茶を」
と言われると、(その記事に書いてあり・・・)

私はちょっと ん?ん?ん?と立ち止まります。

カフェインへの反応には個人差がありますから、基本的に言われる半減期は、6時間です。ということは、夕方以降のカフェインで睡眠に影響が出る人もいるのです。

じゃあ、緑茶は自律神経に悪いの?

もちろん、そんな話でもありません。

面白いのは、テアニンとカフェインは単純に「ブレーキとアクセル」で打ち消し合っているわけではないということ。

緑茶には、
覚醒を促すカフェインと、
緊張を和らげる方向に働くテアニン、
その両方が含まれています。

ですから、
「副交感神経を優位にして眠くする飲み物」

というより、
「落ち着きながらも、ある程度覚醒している状態をつくる可能性がある飲み物」
と考えたほうが近いのかもしれません。

そして、記事に書かれていた「水出し」という方法には、ちゃんと理屈があります。
農林水産省も、冷たい水で緑茶を淹れると、テアニンは抽出される一方、カフェインの溶出量は少なくなると紹介しています。

2025年の研究でも、4℃で抽出した緑茶では、80℃で抽出した場合と比べてカフェインの抽出率が40%以上低く、L-テアニンは約9%高かったと報告されています。

だから、
「緑茶はいいの?悪いの?」
という単純な話ではないんです。

お茶の種類も違う。
淹れ方も違う。
飲む時間も違う。
その人のカフェインへの反応も違う。

身体って、そんなに単純ではありません。

私がこの話から一番伝えたいこと

実は今日、私が伝えたかったのは、

「緑茶を飲みましょう」でも、
「緑茶はやめましょう」でもありません。

健康情報を見るときに、
一つの情報だけを鵜呑みにしないでほしい
ということです。

今はSNSやYouTubeを開けば、

「これを食べれば○○になる」
「これを飲めば自律神経が整う」
「この栄養素にはこんな作用がある」

そんな健康情報が毎日のように流れてきます。

その一つひとつは、決して嘘ではないかもしれません。

でも、
一部分が正しいことと、その結論まで正しいことは別。

今回も、
「テアニンがストレス反応を和らげる」
という研究を知っているだけなら、

「じゃあテアニンの多い玉露を夕方飲もう」
となるかもしれません。

でも、
「カフェインには覚醒作用がある」
という知識があれば、

「あれ?それなら夕方に玉露ってどうなんだろう?」

と、一度立ち止まることができます。
この「あれ?」が、とても大切なんです。

鵜呑みにしないためには、「疑う力」より「知識」が必要

ただ、何でも疑えばいいわけではありません。

「本当なの?」
「嘘なんじゃない?」

と健康情報を疑い続けても、自分で判断する材料がなければ、結局また誰かの意見を信じるしかありません。

大切なのは、
自分で考えるための“ものさし”を持つこと。

  • 身体はどうやって働いているのか。
  • 栄養は身体の中でどう使われるのか。
  • 自律神経は何をしているのか。
  • 血液やリンパはどう巡っているのか。
  • 腸や肝臓はどんな役割を持っているのか。
  • そして、心の状態が身体にどう影響しているのか。

そういう基本的なことが少しずつつながってくると、

健康情報を見たときに、
「なるほど」で終わらず、
「でも、こっちはどうなんだろう?」
と考えられるようになります。

私は、これからの時代には、この力がますます必要になると思っています。

健康情報をたくさん知っている人になることではなく、
健康情報を、自分の頭で読み解ける人になること。

そして、
「今の自分には何が必要なのか」
を自分で考えられるようになること。

そのために私が土台作りクラスで伝えているのが、
補給・解毒・巡りという「土台作り.™」をベースに、身体と心をいろいろな方向から見るための知識です。

何か一つの健康法を覚えるためのクラスではありません。

一生使える、
「自分の身体を自分で考えるためのものさし」をつくる学び。

情報があふれている時代だからこそ、
「誰が言っていたから」ではなく、

「私はこう考える」
と言える人を、もっと増やしていきたいと思っています。