その湿布、「貼るだけだから安全」と思っていませんか?

知っておきたいNSAIDsと「処方カスケード」の話

腰が痛い。
膝が痛い。
肩が痛い。

病院へ行くと、
「湿布、出しておきますね」
と言われること、ありますよね。

湿布はあまりにも身近なので、
「飲み薬じゃないし、貼るだけだから大丈夫」
と思っている方も多いのではないでしょうか。

もちろん、湿布は必要なときに正しく使えば、とても便利な薬です。
でも、ひとつ知っておいてほしいことがあります。
湿布も、れっきとした「薬」です。

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
という鎮痛・抗炎症薬が使われています。

たとえば、

ロキソニンテープ、
ボルタレン、
モーラステープ、
フェルビナク製剤など。

形は「貼り薬」ですが、薬理作用としては鎮痛薬です。
貼ったその場所だけに作用するのではないということです。


湿布の薬も、皮膚から身体に入る

湿布の成分は、皮膚の上にとどまっているわけではありません。
皮膚から吸収され、患部の組織に届き、その一部は血液中にも移行します。

これを
経皮吸収
といいます。

「貼る薬だから全身には影響しない」
というわけではないのです。


NSAIDsは「痛みだけ」に作用する薬ではない

NSAIDsは、
COX(シクロオキシゲナーゼ)
という酵素の働きを抑えて、
プロスタグランジン
という物質が作られるのを減らします。

その結果、
痛みや炎症が和らぎます。
これが、私たちが期待している作用です。

でも、プロスタグランジンは、
痛みだけに関係している物質ではありません。

腎臓の血流
ナトリウムや水分の調節
胃粘膜の保護
血管の調節など
身体のいろいろな働きに
関係しています。

だからNSAIDsを使えば、
痛みが楽になる一方で、

むくみ、
腎機能への影響
血圧への影響
胃腸への負担
など、

別の変化が起こることがあります。

私はこれを、
「主作用」と「副作用」に完全に分けるよりも、

薬によって身体に起きていることは、すべて作用
と考えた方がわかりやすいと思っています。

人間にとって都合のいい変化を「主作用」と呼び、
都合の悪い変化を「副作用」と呼んでいる。

でも身体の中では、
どちらも同じように起きている変化です。


問題は、その次です

たとえば、

腰が痛い

湿布が処方される

NSAIDsの作用によって血圧やむくみなどに変化が出る

その変化が、薬の影響ではなく「新しい病気」と判断される

さらに別の薬が追加される

こんな流れが起こることがあります。

これが、
処方カスケード
です。

薬によって起きた身体の変化を、新しい病気とみなし、
その症状を抑えるために、さらに別の薬が追加されていく。

薬がひとつ増えれば、
その薬にもまた身体への作用があります。

すると、
さらに別の症状や変化が出ることもあります。

こうして、
最初は湿布ひとつだったのに、
いつの間にか薬が増えていく。
それが、処方カスケードの怖いところです。


湿布が悪い、という話ではありません

ここで誤解してほしくないのは、
湿布を使ってはいけない
という話ではありません。

急性の痛みや炎症が強いときに、
痛みを和らげてくれる薬は、とても助けになります。

眠れないほど痛い。
動けないほど痛い。
そんなときには、必要なこともあります。

ただ、
天秤にかけても貼る必要があるのか
ということをまず、考えていただくこと。

そして
「貼って楽になったから終わり」
にしないでほしいのです。

  • なぜ痛みが出たのか。
  • なぜ炎症が起きているのか。
  • なぜその場所に負担がかかり続けているのか。

そこを見ないまま、
何ヶ月も、何年も、
湿布を貼り続ける。

それでは、
症状を見えにくくしているだけ
誤魔化しているだけで、
背景は何も変わっていないのです。


足の裏に画びょうが刺さっているのに

私はよく、こんな例えをします。

足の裏に画びょうが刺さって、痛い。
そこで、
痛み止めを飲む。
絆創膏を貼る。
痛みは少し楽になるかもしれません。

でも、
画びょうは刺さったままです。

だったら、本当に必要なのは、
まず画びょうを抜くこと。

そして、
傷が治れる環境を整えることです。

身体の不調も同じです。
痛みという症状だけを抑えるのではなく、

その痛みを作っている背景を見る。
ここが、とても大切です。


「なぜ痛いのか」を見る

腰痛ひとつをとっても、

姿勢、
筋力不足、
身体の使い方、
長時間同じ姿勢でいる生活、
睡眠不足、
栄養状態、
血流、
ストレスによる筋緊張など、

いろいろな背景が重なっていることがあります。

膝痛も、肩こりも同じです。

症状は、
身体からの「結果」です。

だから、

痛みを抑えることだけで終わらず、
なぜ、この症状が出ているのか
を見ることが必要です。


薬を減らすことが目的ではありません

目的は、
「薬をやめること」
ではありません。

本当に大切なのは、
薬を使わなくてもいい状態に近づいていくこと。

必要なときは医療の力を借りる。
でも、
薬で症状が隠れたところをゴールにしない。

身体が本来の働きを取り戻せるように、

  • 原因となる負担を減らし
  • 必要な材料をそろえ
  • 巡りを整えていく

その結果として、
薬に頼る回数が減ったり、
薬を必要としない状態に近づいたりする。

私は、そこを目指したいと思っています。


そのために大切なのが「土台」

私は身体を整えるとき、
補給・解毒・巡り
という3つの視点を大切にしています。

補給では、
身体が働き、修復するための材料をそろえる。

解毒では、
身体に負担になるものをできるだけ入れない工夫と、
身体が本来持つ処理・排泄の働きを整える。

巡りでは、
血液やリンパという身体の巡りだけでなく、
ストレス、感情、思い込み、心の緊張といった
心の巡り
も整えていく。

症状だけを見るのではなく
身体全体が本来の働きを取り戻せる条件を整える。

湿布を貼って終わるのではなく、
なぜ湿布が必要な身体になっているのかを見る。

そして、
その背景を少しずつ整えていく。

それが、
土台作り.™︎です。