アンチエイジングの鍵を握る『テロメア』

 

2009年 ノーベル生理学医学賞を受賞された エリザベス・ブラックバーン博士による「テロメアとテロメラーゼ~健康に歳をとる秘訣~」と題した講演会では、テロメアと、病気や健康との関係を探るさまざまな研究についてのお話がありました。

博士が研究で目指しているのは「寿命」と「健康寿命」の差をできるだけ短くすること。

「寿命」とは誰もが知っているように死を迎えるまでのことで、「健康寿命」とは体が弱くなる、病気になる、障害を持つ、あるいはQQL(生活の質)が下がる前までのことです。

いつまでも健康でいることが健康寿命を長くすることであり、寿命との差を縮めることにつながります。ブラックバーン博士は、それを科学で支援したいと考えていらっしゃるようです。

エリザベス・H・ブラックバーンElizabeth Helen Blackburn1948年11月26日 – )は、アメリカ合衆国生物学者テトラヒメナからテロメア配列を同定し、テロメアを伸長する酵素テロメラーゼを発見した業績で知られる。2009年ノーベル生理学・医学賞受賞。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

司このみ
konomi
テロメアの長さと私たちの健康には深い関係があるようですよ!

 

テロメアの長さに関する研究から見えてきたこと

■テロメアとテロメラーゼの関係

テロメアとは核内にあり、遺伝情報を持つ染色体の末端部分のこと。染色体を保護する役割を持っています。

細胞分裂を行うごとにテロメアは徐々に短くなっていき、老化が進んで分裂が停止すると、やがて細胞は寿命を迎えます。

一方、テロメラーゼは酵素の一種で、細胞分裂のたびに短くなっていくテロメアを修復し、細胞の老化を遅らせる働きを持つ物質。

そのしくみは、1984年にブラックバーン博士らによって解明され、現在、博士の研究では、テロメアの長さをいかに保つかが重要なテーマになっています。

■テロメアが長いということは、「健康寿命」が長いということ

人のテロメアの長さは生涯にわたって徐々に短くなっていき、もちろん個人差はありますが、年齢を重ねるほどテロメアの維持が難しくなっていきます。

また、テロメアの長さは、高齢者に多くみられる病気との関わりがあることがわかっています。がん、肺疾患、心疾患、糖尿病、認知症、変形性関節症などテロメアの短縮が関係していると見られ、テロメアが短くなることで、こうした疾患の発症リスクが高まります。

つまり、テロメアは「健康寿命」との関わりが深く、テロメアが長いということは、一般的に「健康寿命」も長いと考えられます。

■運動や睡眠、ストレスがテロメアの長さの維持にも影響

テロメアの長さに関するこれまでの複数の研究と、多くの人々への観察から、テロメアの維持に影響する要素がわかってきました。それは、運動や睡眠、ストレス、栄養バランスなどです。

介護などで生活上、長期にストレスを抱えているとされる女性に関する調査では、ストレスの持続期間とテロメアの長さに関連性がみられ、介護年数が長い人ほどテロメアが短縮傾向にあります

一方、そうした生活環境でも運動量の多い人は、ストレスに関係するテロメアの短縮が少ないという報告もあります。

また、テロメアの長さと睡眠に関する調査では、質の良い睡眠をとっている人は、よりテロメアが長いという結果が出ているようです。

 

テロメアが教えてくれる運動・睡眠そして食生活の大切さ

■生活のさまざま出来事や習慣が影響する可能性が

テロメアの維持のためにプラスの効果があると考えられる影響因子には、運動や、質の良い睡眠のほか、十分な栄養、“マルチビタミン”の補給や“オメガ3系脂肪酸”の摂取などがあります。

一方、テロメアの維持にマイナスと思われる影響因子もいくつか挙げられます。慢性的なストレスのほか、母親の胎児にいる時から幼少期までの子供の成育環境、そして食事の質・量のアンバランスや不足、喫煙などの生活習慣まで、さまざまな時期の体や心の状態にも関係するようです。
これらのプラスとマイナスの影響因子のバランスを変えることで、テロメアの維持に役立つと考えられています。

■栄養面でプラスに働くマルチビタミンとオメガ3系脂肪酸

食生活の面では、できるだけたくさんの栄養を摂ることが大切です。35~74歳の女性を対象に、マルチビタミンがテロメアの維持に及ぼす影響を調べたデータからは、マルチビタミンを毎日、もしくは週4~6日摂取している人のテロメアが、週3日以下または摂取していない人に比べて明らかに長いという結果が出ています。

これは、マルチビタミンを高い頻度で摂り続けることがテロメアの維持に重要であることを示しています。

また、オメガ3系脂肪酸の摂取を観察した調査では、オメガ3系脂肪酸の血液中の濃度が基準値より高い人は、その後5年間での、テロメアの短縮割合が少ないというデータもあります。

■人々と共により長い健康寿命の実現を目指して

これらのことから、日常的にバランスの取れた食生活を送り、良好な栄養素の摂取を心がけること、質の良い睡眠をとること、ストレスに適切に対処することなど、テロメアの維持に影響を与える因子をバランス良く制御することがとても大切であることがわかります。

テロメアの長さの維持にプラスの影響するもの
運動、オメガ3系脂肪酸、ストレスの軽減、マルチビタミン、質の良い睡眠

テロメアの長さの維持にマイナス影響するもの
不十分な食事、慢性的ストレス、出生前のストレス、近隣環境の無秩序、喫煙

No.230参考

まとめとして

遺伝子レベルとして考えてみても、何も特別なことをする必要がある訳ではなく、やはり、『土台作りが大切だということが改めて再認識させて頂けた情報でした。