たんぱく質

たんぱく質

“体をつくる” “体の機能を助ける” “エネルギーの副材料となる”

たんぱく質は体のあらゆる機能に関わる栄養素。心身の根幹を支え、いつまでも健康に過ごしていくために大切な栄養素だからこそ、基本情報をコンパクトにまとめました。

 

「プロテイン」の語源

「第1の」

「最も重要な」

たんぱく質の英語「プロテイン」はギリシャ語で第1のもの、重要なものにあたる「プロトス」が語源となっています。この名称は、たんぱく質の研究が本格的に進みはじめた19世紀に近代科学を集大成したベルセリウスという化学者によって考案されました。当時から、たんぱく質の重要性は注目されていたことがうかがえます。

 

 

■たんぱく質はアミノ酸の集合体

三大栄養素のひとつであるたんぱく質は、私たちの体をつくる主材料であり、生命の維持に欠かせない酵素をつくり出し、エネルギーの副材料にもなる重要な栄養素です。

人の体は多くのたんぱく質で構成されているといわれていますが、もとになっているのはわずか20種類のアミノ酸。食事でとったたんぱく質は体内で一旦アミノ酸に分解され、吸収されたアミノ酸は体の各組織に運ばれて、その組織に合ったたんぱく質に再合成。全身でさまざまな役割を果たします。

 

 

■たんぱく質は食生活でしっかり補う

20種類のアミノ酸は、体内でつくることができる必須アミノ酸(11種類)と、体内ではつくることができない必須アミノ酸(9種類)に分類されます。たんぱく質は体内で分解と合成を繰り返し、日々新しいのもに生まれ変わって働くのです。が、アミノ酸は1種類でも欠けると他のアミノ酸では補うことができず、たんぱく質を合成することができません。必須アミノ酸は体内でつくることができないことや、たんぱく質は脂肪のように溜めておくことができないことからも、毎日の食事でしっかり補う必要があります。

 

 

■たんぱく質の重要性を再認識する時

たんぱく質は、体が常に必要とする栄養素であるにもかかわらず、近年の摂取量は決して十分とは言えません。一方で、運動に伴う補給の大切さや低栄養の問題などで、たんぱく質の重要性が再認識され、最近ますます注目を浴びています。

1950 年代以降、高度経済成長期に食生活が豊かになり、たんぱく質を含む栄養全体の摂取量は上昇しました。しかし、食の選択肢の広がりは結果的に栄養の偏りを招き、さらに近年のダイエット志向などの影響も加わって、この20年は栄養摂取量が低下傾向。これに伴い、たんぱく質の摂取量も低下したとみら
れ、近年は落ち込んだ状況が続いています。

厚生労働省
国民健康・栄養調査および2002年以前の国民栄養に関する調査より

 

■アミノ酸は全部で20種類

 

必須アミノ酸 体内でつくることができない

イソロイシン

トリプトファン

スレオニン

バリン

フェニルアラニン

メチオニン

リジン

ロイシン

 

非必須アミノ酸 体内でつくることができる

アスパラギン

アスパラギン酸

アラニン

アルギニン

グリシン

グルタミン

グルタミン酸

システイン

セリン

チロシン

プロリン

 

 

こんなにある! たんぱく質の活躍の場

たんぱく質は、私たちの生命そのものを支え、生活の質を保つために、さまざまな活躍をしています。“第1の”栄養素といわれるほどの多様な働きを挙げてみました。

 

■BONE 骨の強度

骨の強度は骨密度と骨質の強さで決まってくるという考え方が、近年主流となっています。骨の健康にカルシウムが必要なことは知られていますが、カルシウムは骨密度を支える栄養素。一方、骨質に関わる栄養素がたんぱく質で、丈夫な骨のためには、カルシウムとともに良質なたんぱく質の摂取が重要です。

 

■MUSCLE 筋肉維持

体内でたんぱく質を必要とする組織が筋肉です。筋肉をつくるにも、筋肉の疲労を回復するにも、たんぱく質は欠かせません。筋肉は立つ、歩く、座るなどの生活上の基本の動作に関わり、QOC(生活の質)の向上に深く影響。筋肉量を維持し、日々の生活量を増やせば、肥満ゆあサルコペニア、ロコモティブシンドロームなどの予防にもすながります。

 

■IMMUNITY 免疫力

細菌のウイルスなどの外敵から体を守る免疫細胞や、外敵の侵入時に免疫細胞が武器としてつくり出す抗体という物質もたんぱく質が材料となります。たんぱく質が不足すると、これらを十分につくり出すことができないため免疫力に影響。外敵から体を守りきれず、病気にかかったり、治りが遅くなったりします。こうしたことから、たんぱく質は病気の予防や早期回復とも関連が深いといえます。

 

■APPEARANCE 見た目の年齢

肌の弾力やハリに関わるコラーゲン、毛髪の主成分であるケラチンなどはたんぱく質が材料。たんぱく質が不足すると、新陳代謝が停滞し、肌のハリや毛髪のツヤが失われ、見た目の衰えにもつながります。また、姿勢や後ろ姿も見た目年齢を大きく左右する要素ですが、背筋が伸びた若々しい姿勢を支えるのは筋肉。これでもたんぱく質が貢献します。

 

■BRAIN 脳の健康

脳の神経細胞そのものと、神経細胞同士をつないでのう脳の働きを支えている神経伝達物質は、たんぱく質が主な材料。さらに神経細胞間の信号をいキャッチする受容体もたんぱく質でできています。脳は眠っている間も24時間働き続けているので、脳を構成するたんぱく質は常に消耗しています。神経細胞同士の情報伝達がスムーズに行われることで、記憶力、判断力、思考力などが健全に働きます。

 

■MOTIVATION やる気・快活さ

たんぱく質から分解されたアミノ酸はビタミン・ミネラルなどのサポートを受けて。喜怒哀楽の感情ややる気などを司るさまざまな神経伝達物質に合成され分泌されます。主に必須アミノ酸のフェニルアラニンがもとになるドーパミンやノルアドレナリンは交感神経に関わる神経伝達物質で活性化すると感情が豊かになり意欲が高まります。たんぱく質が不足すると、無気力につながる可能性も。

 

■STRESS ストレス予防

心の安定や幸福感を司る神経伝達物質・セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから合成されるため、たんぱく質不足はイライラにつながるともいわれています。さまざまなストレスにさらされている現代人にとってはたんぱく質は、こうした思いがけない部分でのサポートでも活躍しているのです。

 

 

■まだある大切な役割

■生活習慣予防に貢献

生活習慣病の多くは、血管の老化や疾患と深く関わっています。血管をつくっているのもたんぱく質なので、不足すると血管のしなやかさが損なわれてもろくなり、動脈硬化や、ひいては心血管や脳血管で起こる病気のリスクが高まります。また、大豆たんぱく質はコレステロールを含んでいないことに加え、余分な脂質を体外に排出する働きもあることから、健康サポートで注目されています。

 

■子供の成長にこそ重要

骨、筋肉など体の土台づくり、脳の発育に関わるたんぱく質は、成長期の子供にとって重要で、不可欠な栄養素。非必須でありながら子供のうちは体内ではほぼつくり出せないアミノ酸もあるため、食生活でしっかりとることが必要です。また、健康な胎児の発育のため、妊婦さんもたんぱく質不足には要注意です。

 

 

 

たんぱく質 補給の鉄則

 

摂取のポイント①

種類・質・量に妥協せずしっかりとる

 

■動物性と植物性をバランスよく

たんぱく質には、肉や魚、卵、乳製品などに含まれる動物性と、豆類、大豆製品(豆腐、油揚げ、納豆など)、穀物類などに含まれる植物性があります、それぞれ長所と短所があり、両方をバランスよくとることが大切。動物性たんぱく質は動物性脂肪を多く含み、高カロリーになりがち。肥満や動脈硬化の進行にもつながるので、摂り過ぎに注意しましょう。

 

■必須アミノ酸のバランスが質の目安のひとつ

体内でたんぱく質を合成する上で大切なのが、9種類の必須アミノ酸がバランスよく含まれていること。たんぱく質のバランスを評価する目安となるアミノ酸スコアは、必須アミノ酸のバランスを評価したもので、また、植物性では唯一、大豆たんぱく質が動物性に匹敵する高い評価を得ている優等生です。

 

摂取ポイント②

たんぱく質と組合わせる栄養素も幅広くバランスよく

 

■ビタミン・ミネラルなどのサポートする栄養素とともに

たんぱく質が体内で効率よく仕事をするには、たんぱく質だけとっていればよいわけではありません。たんぱく質は分解と合成を繰り返していますが、ビタミンB群やビタミンC、鉄などのサポートがなければそれをスムーズに行うことができません。また、たんぱく質の代謝に貢献する糖質も、併せてとりたい栄養素。エネルギーの主材料である糖質が不足すると、たんぱく質がその代わりに使われます。そのためたんぱく質が本来の重要な仕事をするためにも適度な糖質の摂取は欠かせません。このように栄養素を幅広く併せて摂取することが重要です。

 

たんぱく質の種類

■動物性 肉、魚、卵、牛乳、貝類・・・

必須アミノ酸をバランスよく含み、また、たんぱく質のほかにビタミンやミネラルも含んでおり、多くの栄養素をとることができます。ただし、動物性脂肪のとり過ぎはコレステロールや中性脂肪の増加につながる恐れも。

 

■植物性 大豆、米。小麦、ごま、あずき・・・

大豆、大豆製品や米などの穀物は脂質が少なめなので、動物性に比べてコレステロールや中性脂肪を気にすることなくとることができます。ただし、大豆たんぱく質を除き、アミノ酸スコアはおおむね低め。

 

たんぱく質の質

■大豆たんぱく質は、最高評価!

アミノ酸スコアで唯一、動物性たんぱく質と同等の最高値100とされている植物性たんぱく質が、大豆たんぱく質です。さらに、消化吸収を考慮した評価法であるたんぱく質消化吸収率補正アミノ酸スコアでも、大豆たんぱく質は最高値の1.00を獲得。

“畑の肉”と呼ばれる大豆は、まさに最上級の良質なたんぱく質源。動物性に比べて中性脂肪、コレステロールなどの脂質も少なく、さらに大豆レシチンや大豆サポニンといった機能性成分も含む優れた食品です。

 

■生活スタイルや体格に合わせて賢くとりたい

厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、たんぱく質の摂取量として1日目安とされる基準は、男性60g、女性50gとなっています。ただし、毎日積極的に体を動かしている人や、がっちりした体格の人など、活動量や体格によって必要量には個人差があるため、体重1kgあたり1.0~1.5gがひとつの目安ともいわれています。

たんぱく質の摂取にあたっては、その合成や働きをサポートする栄養素も併せてバランスよく摂取することがポイント。食事ですべてを活用するなど食生活の工夫で効率よい摂取を心がけましょう。

 

 

No.238