免疫力を低下させない秘訣とは?

 

インターフェロンの第一発見者で、さらに、インターフェロンの体内生産を促す植物成分の開発に世界で初めて成功した小島保彦博士。
今なお現役でご活躍の先生が実践されている免疫を維持する秘訣や、生活上の注意点をうかがいました。

 

 

免疫力を低下させない秘訣とは?

 

「調和を忘れた生活や防ぎ過ぎも、免疫力の低下を招きます」

科学の進歩がもたらした物質文明によって、私たちの生活は確かに便利にはなりました。
しかし過度なスピードアップは、私達の健康にも影を落としています。

 

本来、健康体であればかからないはずの病気を発症したり、自分で自分の細胞を攻撃する自己免疫疾患なども増えています。

 

免疫力低下の要因はストレスや乱れた食生活などの生活習慣にあると考えられますが、防ぎ過ぎも実は要注意なんです。インフルエンザなどにかかってすぐに熱冷ましや抗生物質を飲むと、体が戦い方を覚えないので、またかかる…。

 

腸も同じです。大腸菌、腐敗菌といった悪玉菌は四足動物の肉が大好物で、肉ばかり食べていると、悪玉菌が増える。そのバランスをとるために乳酸菌やビフィズス菌がありますが、現代人はとかく抗生物質を使うでしょう。

 

すると、大腸菌や腐敗菌だけでなく、乳酸菌なども一緒にやっつけられてしまいます。その結果、クローン病(大腸・小腸を中心とする炎症性疾患)や大腸下痢症など、治しにくい病気が起きてきます。悪玉菌をすべてやっつけると、マクロファージなどが戦い方を覚えないんです。

 

つまり、防ぎ過ぎることで、かえって免疫力を低下させてしまう…。
すべては「促進と抑制のバランス=調和」という考えを忘れないことが重要です。

 

「潜んでいるウイルスにスキを与えない体質強化が重要です」

はしかに一度かかると、その抗体は一生効くと思われていました。
しかし最近、再び発症する人も出てきて、免疫がそんなに続かないことがわかってきました。

 

さらに、今問題になっているのが、ウイルスの潜伏です。

 

例えば、幼い頃に水疱瘡にかかっても、その時は治る。
ところが実は、水疱瘡やヘルペスのウイルスは消滅したわけではなく、神経節に逃げてしまうということがわかってきました。

 

つまり、おとなしく潜んでいて、年をとったり体が弱ってきたりすると目を覚まし、再び帯状疱疹という病気を発症するんですね。また、癌ウイルスの場合は遺伝子に逃げ込むため、代々受け継がれていきます。

 

病気というのは、体が弱った時期の発病なので原因は多岐にわたり、しかも長期戦を要します。現代医学の網の目をうまくくぐり抜けてしまうしたたかさを持ち、一度かかると治すのが難しい。

 

だからこそ、ウイルスなどの外敵を波打ち際で食い止める〝予防医療〞が大事です。そのためには、外敵が侵入してきても発病させない体質の強化が重要になってきます。

 

花粉症やアトピーなどのアレルギーは免疫作用の過剰反応

免疫とは、外から侵入してきた敵を排除するシステムですが、過剰に反応すると、自分の細胞や組織なども外敵と誤認して攻撃。アトピーやぜんそく、花粉症といったアレルギー症状を引き起こします。
遺伝が関係し、体が弱ってくると発症リスクが高まります。

 

「生まれつき備わっている自然免疫を強くして予防を徹底」

病気が複雑多岐になっていく中、マクロファージやNK細胞など、侵入病原体をオールマイティにやっつける〝自然免疫〞を強化していかないと、病気を防ぎきれません。その助けになるのが、私が発見にも携わったインターフェロンです。

 

インターフェロンは、主にウイルスなどに感染した時に体内で作られる武器のひとつで、マクロファージを活性化させ、C型肝炎やガンの治療でも活用されています。しかし、インターフェロンを外から補うということは、副作用
や高額な費用というマイナス面もあるんです。

 

インターフェロンの発見に携わった者として考えたのは、この物質をより安全に、身近なものとして健康維持に役立てたいということ。これがきっかけで漢方の研究にのめり込みました。

 

漢方生薬の大部分は草根木皮で、その部位ごとに個別の薬効があります。漢方生薬など約200種類の植物を調べると、約70種にインターフェロンの産生を促すインデューサーとしての機能があることがわかりました。この中からさ
らに厳選し、あえて1種類にせず、組合せて効果を高めていくことにこだわって開発したのが〝4種の植物の組合せエキス〞です。

 

漢方にならって内服で用いるため、いわば自前のインターフェロンなので副作用の心配もありません。植物によるインターフェロンを誘発する力を、免疫強化の一助として役立てていただきたいと願っています。

 

発熱や咳、鼻水などは免疫作用のひとつ

風邪のウイルスが体内に侵入してしまった場合、咳や鼻水によってウイルスを追い出そうとします。熱が出るのも
ウイルスを死滅させるためで、これらの風邪の症状は外敵を撃退するための免疫プロセスと考えられています。

 

「生き甲斐や楽しみは免疫力を維持する原動力のひとつです」

私は今87歳ですが、この20年間風邪をひいたことがありません。
インフルエンザのワクチンも受けていませんが、かかったことはないですね。

 

インターフェロンの研究に没頭してきたことが功を奏しているかもしれませんが、その道のりは試行錯誤の連続。科学者にとって漢方生薬の研究は泥沼に入ることだと嫌われ、周りからもおかしいとか反対だとかいろんなことを言われましたが、私にとっては事実ってものが非常に重要で、その信念で研究に打ち込んできました。

 

私の大学の先輩たちもすごく元気がいいんですが、80歳を過ぎると1年ごとに体力が落ちると言います。私の場合は
85歳を過ぎた頃から、ものの名前などがふっと出なくなりました。だから、忘れやすい言葉は繰り返し口にし、意識して頭を使うようにしています。

 

碁でも将棋でも麻雀でも、興味を持てることなら何でもいいんです。ただし、趣味や目標は与えられるものではなく、自分から見つけ出すもの。まずはやってみることが大事で、音楽でも落語でも楽しいと思う感覚が、免疫の維持・向上に役立ちます。

 

笑いは免疫細胞を活性化!

笑いや楽観主義は、免疫にとって大事な要素です。
笑うと副交感神経が優位になり、リラックスして免疫細胞が活性化。泣くことでも同じ効果が得られますが、
それは嬉し涙の場合。悲しみの涙はストレスに。

 

「免疫力は生活習慣に大きく左右されます」

体内に〝溜まる〞ものは、いろいろと悪さをします。ですから、快便・快尿・快汗・運動・休養が大事です。

 

最近、若者の免疫力の低下が気になりますが、これは不規則な生活だけでなく、主にはストレスが要因です。ストレスが溜まると自律神経がバランスを崩すため、精神状態やホルモン分泌など心身の状態に影響。

 

体の機能はそれぞれが関わり合い、すべて免疫に跳ね返るため、メンタルも含めた健康管理がとても大切になってきます。

 

「栄養バランスのとれた食生活は、免疫力を低下させない必須条件です」

 

免疫力において、特に大事なのが食生活。私はできるだけ多くの種類の食材を少量ずつ摂って、栄養のバランスを心がけています。
また、インターフェロンを作らせる食べ物は皮や種の部分に多いため、果物などはなるべく無農薬のものを選び、皮も食べます。

 

そもそも食べ物には3つの機能があります。まずは、たんぱく質をはじめとする「体を作る」ために必要なもの。次に、「味やにおい、食感」などの感覚。3番目が「神経系や内分泌系など体を調整」する機能で、漢方薬やインターフェロンなども該当します。

 

植物にはこれら3つの機能があり、 陰陽五行を学ぶと、体の中の相関関係がよくわかりますが、おいしい所ばかり食べていると、調節機能が狂ってきます。堅いから、まずいからと捨てられている部分に体の調節を担う成分が多く含まれているため、野菜はまるごと摂るのが理想ですね。

 

現代人は相対的に免疫力が落ちているため、とかく免疫だけを上げようとしますが、大切なのはバランスです。自分で健康管理をして予防する姿勢がない限り、病気から逃れるのが難しい現代。まずは食事や生活習慣のバランスをとって免疫力を高め、体の守りを強化することが重要です。

 

*東洋医学の基本的な考え方で、万物を陰と陽の「二気」および、木・火・土・金・水の「五行」で説明するもの。

 

 

 

医学博士 小島保彦先生

東京大学伝染病研究所(現・医科学研究所)文部教官。東京大学大学院生物系研究科修了、医学博士。
1954年に長野泰一教授の指導のもと、インターフェロンを発見。北里研究所研究部部長、山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所常任顧問、北里薬品産業(株)学術顧問、機能性食品産業(株)取締役・学術担当を歴任。
現在、NPO 法人インターフェロン・ハーブ研究所所長

 

No.223より