巡りが支える健康寿命

巡りが支える健康寿命

 

私たちの体の中で、生命活動や生活の質(QOL)を保つのに大きな役割を担っている血液とその循環。いきいきとした生活を、その多様なメカニズムを掘り下げます。

 

■「巡り」とは?

「まわって再び戻ること」「循環」の意味から全身の血管内の血液循環のことを指し、“血流”あるいは“血行”とも言います。

 

■血液を構成するもの

血液の成分は、血漿と呼ばれる液体成分と、血球と呼ばれる細胞成分に分かれます。脂質(中性脂肪やコレステロール)や糖質なども血漿に含まれます。

・血漿(液体成分 約55%)‐水分、たんぱく質、老廃物など

・血球(細胞成分 約45%)‐血小板、白血球、赤血球

■血液と血管の基礎知識

人間の生命の基盤である全身の細胞一つひとつに、酸素や栄養を送り届けるのが血液で、その成分は、液体成分(血漿)と、細胞成分(血球)に分かれます。液体成分のうち約9割は水分、その中に分解された栄養などが溶け込んで、血球と混じり合って血管を流れています。

血液の通り道である血管の大部分は、体の隅々まで網目状に張り巡らされた毛細血管。このミクロの細い管を流れて全身に行き渡ることで、血液は次のような多くの役割を担っています。

 

■全身を巡り24時間大活躍!

血液は眠っている間も全身を巡り、酸素や栄養のほか、体内で作られたホルモンを、必要とする器官や組織に届けます。また、同時に二酸化炭素や老廃物など不要なものを回収し、静脈に送り込みます。酸素を運搬するのは赤血球ですが、他の細胞成分にもそれぞれ役割が。血小板は出血時に血栓を作って傷口を塞ぎ止血。白血球は免疫システムを備え、全身をパトロールしてウイルス・細菌など病原体から体を守ります。

さらに、血液は水分や体温など体内環境の安定にも貢献。血管の内外の水分バランスを適正に保ち、血流をコントロールすることで体温の調節を行います。

 

■血液の役割

・全身に届ける‐酸素の運搬、栄養の運搬、ホルモンの運搬

・回収する‐二酸化炭素の回収、老廃物の回収

・生体を防御する‐止血作用、免疫反応

・体内環境を一定に保つ‐水分バランスの調整、体温調整

 

 

GOOD!… 良い巡りの条件

多様な役割を担っているからこそ、血液や血管の状態は健康の“バロメーター”に。良い「巡り」には、健やかな血管が必要です。

 

■ベースとなるのは「サラサラ血液」

血液の良好な状態を「サラサラ血液」、不健康な状態を「ドロドロ血液」と表現されることがあります。「サラサラ血液」とは、血液の成分や血漿に溶け込んだ脂質などの量、水分バランスが良好で、血流に支障のないことを表します。

一方、「ドロドロ血液」とは、主に脂質(悪玉のLDLコレステロールや中性脂肪)が通常より多い脂質異常(高脂肪血症)の状態を言います。過剰な脂質は血管壁に沈着して血液の通り道を狭くし、動脈硬化によるさまざまな障害を引き起こします。これには活性酸素も関わっており、LDLコレステロールの酸化が動脈硬化の引き金に。また、水分が少ない場合も血液の粘度が高まり「ドロドロ」になります。

 

■血液の質が良い

LDLコレステロール、中性脂肪などが過剰でないこと。また赤血球、血小板、白血球などが多すぎず少なすぎず、水分バランスも含め、それぞれの役割を果たせる適正な量を保っている状態が、サラサラ血液。

 

■血管の質が良い

ひとことで言うと、「血管年齢」が若いということ。動脈硬化の進行の度合いによって評価されます。動脈硬化は血管壁が厚くなり血液の通り道を狭くするだけでなく、血管の柔軟性を奪ってしまいます。しなやかな血管こそが質の良い血管なのです。

 

■血流がスムーズ

血流は自律神経の働きと連動しており、気温や体の状態、血液や血管の状態に応じて血圧でコントロールされます。スムーズな血流とは、サラサラ血液がしなやかな血管を通って体の末端まで十分に届くことで、血液の流れが速いという意味ではありません。

 

×NO GOOD… 巡りが悪くなると

血液成分のバランスがくずれていたり、血管のしなやかさが失われていたりすると「巡り」が悪くなり、さまざまな不調につながります。そして、不調がさらに「巡り」を低下させ悪循環に陥ることも。「巡り」に関わるトラブルの例をご紹介します。

 

貧血

全身に酸素を運んでいる赤血球が減少すると、酸素が行き渡らなくなり、貧血状態に。酸素不足はさらに他の不調を引き起こします。

動脈硬化・高血圧

ドロドロ血液による巡りの低下によって、LDLコレステロールが血管の壁を厚くし動脈硬化が進行。また、血液を毛細血管の末端まで届けるために、血圧が上昇します。

冷え・こり

体の末端まで血液が行き届かず、毛細血管が収縮したままとなり冷えに。またストレスや、同じ姿勢が続くことなどで血流が滞ると、筋肉が緊張してこりを発症。

免疫力の低下

巡りが悪くなり体温が下がると、血液中をパトロールして異物に備えている白血球が低下。ウイルスや細菌に負けて発病のリスクが高まります。

心の不調

ストレスと血流は相互に影響し合っており、血流が滞ると疲れやすくなったり、イライラや気力の衰えにつながることがあります。この状態が続くと心が不安定に。

肥満・疲れ

巡りが悪くなると酸素や栄養が行き届かずエネルギー代謝が低下。脂肪の分解が進まなくなって体にたまります。また、代謝の低下によって老廃物がたまり、疲れやすくなります。

老化・肌トラブル

巡りが悪くなり酸素や栄養が行き届かないと、細胞の新陳代謝も停滞して老化が進みます。肌のターンオーバーが遅れ、シミ、くすみ、シワなどが生じて見た目にも影響が。

 

■注目したい!認知機能と「巡り」の関係

年齢を重ねることにより、「人の名前がすぐに浮かばない」「うっかり物忘れが多くなった」「気力が続かなくなった」・・・・・こんなふうに脳の健康が気になる人が増えています。こうした認知機能の低下を考える時、注目されるのが脳と「巡り」の関係です。

神経細胞の高度なネットワークシステムによって常に情報処理を行い働いている脳は、全身のエネルギーの約20%を消費します。そのため酸素を運ぶ「巡り」がとても重要。実際、脳の機能低下には血流の低下が関わっているとみられ、医療現場では認知症の診断に脳の血流検査が行われることも。脳の「巡り」は、健康寿命を延ばす一つのポイントと言えるでしょう。

 

 

良い巡りをもたらす生活習慣と栄養補給~健康寿命を延ばすために!

「巡り」を良好な状態にして健康を保つためには、血液の質を高め、しなやかな血管を保つことが大切。そのためには毎日の生活を見直すことがカギとなります。「巡り」に良いと言われる栄養素もおさえておきましょう。

 

巡りに大切な生活習慣

食事、運動、睡眠などを通して毎日を規則正しく過ごすことで、血液と血管も健康に!

 

■生活リズムを整え、きちんとした食生活を

夜はしっかり睡眠をとり、太陽の光で気持ち良く目覚め、規則正しくメリハリのきいた生活を送ることが、ホルモンバランスと自律神経にも良い影響を与え、健やかな巡りにつながります。食生活においては、栄養バランスを考え、脂質や塩分の摂りすぎなどにも注意しましょう。

 

■衣類、運動、入浴で体を温める

体を冷やすと毛細血管が収縮し、巡りが低下する悪循環に。夏は特に、エアコンがきいた部屋などでは冷えすぎないよう服装に注意し、冷たい飲み物は控えめに。定期的な有酸素運動や、太陽、腹筋など大きな筋肉を動かす筋トレなどは、脂肪の燃焼を通して体を温めます。入浴は体を温めるとともに日中のストレスを緩和する効果も。

 

■十分な睡眠で血管をメンテナンス

睡眠中は副交感神経が優位となり体はリラックスした状態。血圧が最も下がり、心臓と血管の負荷が軽くなります。さらに睡眠中に分泌される成長ホルモンによって、細胞が日中受けたダメージを修復。血管にとって大切なメンテナンスの時間なのです。血管の健康のためにも十分な睡眠を心がけましょう。

 

巡りを応援する栄養素

さまざまな角度から巡りをサポートする栄養素をご紹介します。

 

■血液や血管などの材料となる

・たんぱく質

血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンや、血管の細胞はたんぱく質でできています。さらに、脳の神経細胞、セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質の多くもたんぱく質が重要な材料。巡りに必要な材料と、それを受け取る全身の器官の基盤となるのがたんぱく質です。

・鉄

たんぱく質とともに、赤血球内のヘモグロビンを構成するもう一つの成分が鉄。酸素と結びつきやすく、全身に酸素を運ぶ働きを持つミネラルです。十分に補給することで貧血の予防になり、疲労回復もサポート。

 

■オメガ3系脂肪酸~血液サラサラに貢献する

脂質の中でも、健康への貢献度が高いとされる必須脂肪酸の一つ。体内で合成できないため、積極的に摂取する必要があります。

・EPA・DHA

いずれも青魚などに含まれるオメガ3系脂肪酸で、血流の改善や、血液中のコレステロール・中性脂肪を低下させるなど、生活習慣病の予防効果があると言われています。EPAはイワシなどに、DHAはマグロやサンマ、サバなどに特に多く含まれます。

 

■ポリフェノール~巡りに働きかける~

ポリフェノールには、活性酸素の発生やその働きを抑制する抗酸化作用がありますが、巡りを良くする効果でも近年注目されています。

・シャルドネ葡萄種子エキス

脳に酸素や栄養を届けるのに不可欠なスムーズな巡り。ブドウの中でも、特にシャルドネ種のブドウの種は巡りに関わるエピカテキンを多く含有していることで、近年特に注目されています。

 

■ビタミン類~巡りをバックアップ~

体内ではほとんど合成することができないため、積極的に摂りたいビタミン類。巡りに深く関わるとされる4つをご紹介します。

・ビタミンB群

ビタミンB群は代謝をサポート。動脈硬化予防に貢献し、巡りをスムーズに。また、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸は赤血球を作るのに欠かせない栄養素。

・ビタミンC

哲人一緒に摂ることで鉄の吸収率をアップ。また、抗酸化作用により、皮膚や粘膜の健康維持や、ストレスに対する抵抗力を高める働きも。

・ビタミンD

カルシウムの吸収を助け、血液中のカルシウム濃度を保ち、丈夫な骨を作ります。ビタミンDの血中濃度が高い人ほど、善玉のHDLコレステロールが高く、中性脂肪は低いなど血液の質を高める臨床データがあります。

・ビタミンE

活性酸素の働きを抑え、酸化しやすい細胞膜の老化を予防。また、血液中のコレステロールの酸化も抑制して動脈硬化を予防し、サラサラ効果が期待されます。

 

■Point!良い「巡り」は日々の積み重ねから

24時間全身を巡って私たちの毎日の営みを支えてくれる血液は、自分の生活習慣をそっくり反映した鏡のようなもの。睡眠不足やストレス過多、栄養のアンバランスや偏りなど、ライフスタイルや食生活の変化は巡りにも影響します。

より良い巡りを実現するには、暮らしを見直し、体の基盤をつくる栄養素をバランス良く摂取することが大切。食事で補えないものは、サプリメントを活用するのも良いでしょう。

 

 

No.233